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日曜日。

のんびりベッドの中で朝の読書を愉しむ。


カフカ少年は15歳で旅に出た。

父親のお金とナイフをザックに入れて。

南へ向かったのは、軽装でいられるから。

そしていま、彼は、森の中で暮らしている。深い森。都会の飼いならされた緑と異なり、森の植物がこんなにもフィジカルであることに彼は驚嘆している。

今朝、読んだところでは、一瞬の天気の変化で土砂降りとなり、すっぱだかで雨のシャワーを浴びていた。いいシーンだなと思う。

この森の小屋に来るときに、大島さんと、夏目漱石の『坑夫』について話す。

カフカ少年は感想を聞かれて言う。

“……三四郎は物語の中で成長していく。壁にぶつかり、それについてまじめに考え、なんとか乗り越えようとする。そうですね? でも『坑夫』の主人公はぜんぜんちがう。彼は目の前にでてくるものをただだらだらと眺め、そのまま受け入れているだけです。……僕は思うんだけど、人間というのはじっさいには、そんなに簡単に自分の力でものごとを選択したりできないものなんじゃないかな”(新潮文庫上巻222ページ)



世界でいちばんタフな15歳かぁ。。。そんなら私は世界でいちばんタフな51歳めざそうか?!……なんて笑い話だけどさ。

けど、だらだらと眺め、受け入れてこんなところまで来ているよ、とカフカ少年に教えられている。

わがやでは、息子1が受験をせずに早々に大学を決め、人生のスタートラインに立った。偏差値とかから考えたら、マラソンのスタートラインの後ろの方で集団の中にまぎれてしまうスタートなのかもしれない。
けど、人生は長い。走りきることだろう。いや、もしも途中で別の競技に出たくなったら、それはそれでいい。親には見守ることしかできない。
本人は、集団にまぎれていることなど気にもせず、未来に向かってやる気まんまんだ。各所ストレッチをして関節をほぐし、宇宙の果てまで飛んでいく勢い。


そして親の私は、性懲りもなく、また次の旅の準備にとりかかっている。というより旅の途中に日常が点在している、そんな生活になってきている。
その証拠に、スーツケースやザックは常に外に出っぱなしである。

カフカ少年の勤勉さには負けるけど、カラダを作ることは大切だと思っていて、このところ、毎日のメニューをこなしている。





海辺のカフカ〈上〉海辺のカフカ〈上〉
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:2002-09-12
おすすめ度:4.0
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