仕事の関係で黒木和雄監督の『父と暮らせば』をTSUTAYAで探してきて観た。

原爆の話ということは知っていたけど、そして宮沢りえちゃんの熱演も話題になったし、岩波ホールで公開されているときにとても見たかった映画だった。

ラスト、終わったときに思ったのは・・・・・・「見てしまった」ということだった。

否定的な意味ではなくて、この映画が私の中にあまりにっくっきり刻まれたことを知って、体内ベクトルみたいなものが方向修正されたことへの感慨のような想いだった。

今、息子2が広島へ修学旅行に出かけている。
被爆者の方にインタビューをして記録する、それが彼らの目的でもある。
ちょうどときを同じくして、母もまた改めて原爆を知った。

原爆が投下されて3年目の広島爆心地が舞台。
父と娘のささやかな幸せが丹念に描かれていた。
ささやかな日常と原子爆弾の組み合わせのリアル。
日常には家族がいて、友がいて、恋がある。

工事中のクレーン車が倒れこんで傷ましい事故が起こり、被害者の家族のことを想った。チリの落盤事故しかり。
もしも自分の家族がそんな事故に巻き込まれたりしたら……と。原子爆弾も、戦争下という特殊な時代に押し込めたりできない、とんでもないことだったんだと思う。
誰かを憎むのではなくて、そんなことが起こらないようにするにはどうしたらいいのかを、全身全霊で考えなくてはいけない種類のこと。

今年の7月、息子2のPTAの会で被爆ピアノを広島から招いて演奏会を開催した。
暑い日で、JIROU先生は汗だくで背広を着て、ラフマニノフの鐘とフィールドのノクターンを演奏してくださった。子どもたちのためにスリークールも。
空調がきかず、テレビ取材のカメラとラジオ取材の録音機の両方が壊れた。
暑さに広島の悲劇を想ったという保護者の感想があって、妙に納得したのだった。

息子たちは、子どもたちは、いつかTSUTAYAの隅にあるDVD『父と暮らせば』と出会ってくれるだろうか。このくらいの年になってくると、与えるのではなくて、待たなくてはならないから、歯がゆいかぎり。


父と暮せば 通常版 [DVD]
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