ea2014book
きっかけは「ぼくたちは教育を受けた遊牧民になりたい」という遊牧民の少年たちの言葉だった。冬はマイナス30℃を下回り、夏は30℃超える過酷な地域。標高5000メートルは私たちの暮らす場所の半分の酸素しかないという。
1974年に外国人の入域が許されるようになったインド・ラダック地方は、最近まで自給自足の暮らしをしていたが、いまは自分たちが作る作物より安価な農産物が手軽にマーケットで手に入る暮らしに変化しつつある。過酷な遊牧生活より、都市部の生活を望む遊牧民もいて当然だろう。
しかし、そんな中でも、勉強して、自分たちのコミュニティを守っていきたいという子どもたちがいることに私たちは目を覚まされる思いだった。何も顧みることなくひたすら便利な暮らしを求め、発展の波に乗ってきた自分たちのことを思えばなおさらだ。彼らは発展を止めたいわけではなく、都市部の荒廃ぶりを知り、大地に足をつけたもうひとつの発展、カウンターディベロップメントを目指している。
私たちは、2010年に開始したインドの芸術祭、ウォールアートフェスティバル(WAF)を開催することで、より深い国際交流を目指している。現地の人々と共に芸術祭を開催し、成功させることで、農村部の人々に大きなエールを送ってきた。開催した学校で毎年50〜100人入学者数が増える実績を上げてきている。
ラダック地方で私たちがどんな成果を挙げることができるのか、1回目を終えたばかりでなかなか結果は出ないけれど、ひとつ種まきを終えたことは事実だ(プーガの子どもたちと教師の声は22〜23ページに掲載)。
ラダックでのプロジェクトで、この世界を極近くから眺めることで、新しいプロジェクトへ進むことの必然を感じ、勇気をもらった。
新プロジェクトは、先住民ワルリ族の村で家を建てるプロジェクトだ。ノコプロジェクトと名付けたのは、ノコという言葉が、このまま発展を享受するのではなく、ノコ(もう十分、ストップ)と言って立ち止まることを意味している。
今ちょうど岐路に立っている彼ら、遊牧民や先住民が、どちらの方向に進むかで、この世界の末路は決まってくると私たちは考えている。

ここまでやってきた私たちは、絵を描き、作品を制作するだけがアートではない、ということに気づき始めている。社会彫刻として、この世界の構造そのものを刻み直していく作業をしてみようと、一歩を踏み出している。
EAP2014 book
EARTH ART PROJECT2014 ドキュメンタリーBOOK、青熊雑貨店にて頒布中。
B5変形 40ページ 平綴じ フルカラー ¥500+税

eat2014bookset

『EARTH ART PROJECT 2014』+CD(樅山智子作品)+DVD(藤井龍作品)セット ¥1500+税

青熊雑貨店
http://www.blue-bear.co.jp/shop/index2_3_2.html#book2011