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インド先住民ワルリ族による伝統絵画、ワルリ画の発祥は3000年前と言われています。家の土壁に米粉で描かれるのは祭祀の紋様や豊穣を祝うダンスの様子、日々の暮らし。
彼らは、丸と三角と線で構成されたシンプルな表現を用い、今この世界で起きていることを記します。ニューヨークの同時多発テロも、日本の津波も描いてきました。記録するための文字のような絵です。
私たちは、ワルリ族の村で4年に渡り、学校を舞台とした芸術祭を3回開催し、そこで起きたことをみつめ、現在は現地の人々と家を建てることから始めるコミュニティ再生プロジェクトに取り組んでいます。彼らが生来持っている「足るを知る」生活をリスペクトし、その精神を伝え守るノコプロジェクト。ノコとはワルリ族の言葉で「もう十分です」という意味です。

昨年11月には、インド先住民ワルリ族のアーティスト3人を日本の福島県猪苗代に招聘し、「ウォールアートフェスティバル in 猪苗代 2017」を開催しました。
猪苗代の人々に、土地に伝わる民話や文化、暮らしをヒアリングし、民家やお寺に民泊させていただき、日々の暮らしを体験しながら、小学校や美術館をお借りして地元の人々に囲まれ滞在制作をしました。ワルリ画家たちが外からその目で確かめた、人々と生きもの、植物たちの命の力にあふれた「猪苗代」が、10日間の滞在制作を経て1m×2mの2枚の絵に仕上がりました。

1枚目の絵「十全な森」には磐梯山という火山のある猪苗代の地中にマグマが息づく様が象徴的に描かれています。かつてマタギが熊を狩り、猪苗代湖でのエビ漁や稲穂の実りも描かれています。今生きている人々が生まれるずっと前からこの土地は、自然からの大きな祝福を得ていたのだということがひと目でわかります。2枚目の絵「再びはじめよう」には、目に見えない放射能が不思議な生きものの形で登場しますが、山々が放射能から守ってくれているようにも見えます。ワルリ族の彼らの村のそばにも原子力発電所があります。日本の津波とその後の原発事故や福島の人々の戦いは、ワルリ族にとって他人事ではないのです。

異国からやってきた彼らが真剣に描く姿を見守ってくれた猪苗代の子どもたちは、成長し、やがて都市部や世界へ羽ばたいていくかもしれません。そのときに、異国の彼らが自分たちの故郷をどう見たか、どんなふうに描いたのかを思い出してほしいのです。偏狭な価値観の中で押しつぶされそうなとき、自分がどこからやってきたのかを知る強い魂が、人の心を救います。自分がどこから来たどんな人間であるかといったアイデンティティこそが人生という大海を乗り切る羅針盤となると思うのです。
異国の青年たちの目線を通して、くっきりと子どもたちの心に刻まれた「猪苗代」。あの絵を観た子にも、観ることができなかった子にも、小さな出会いの数々が生んだ奇跡の絵を絵本として残したいと思うのです。猪苗代を知らない日本の子どもたちにも、伝え守られてきた自然や文化の大切さ、多様性の大切さをいま一度、この絵本から知ってもらいたいと思っています。

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モーションギャラリー
https://motion-gallery.net/projects/waf_in_inawashiro_prologue

上記画像はWAF2014淺井裕介作品「誕生日の森〜父の木、母の山〜」の一部を用いた
WAPのサイトのトップページより
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