正月に盲腸で入院したとき、ボルヘスを再読したら、思いがけず面白くて、なぜか次に読む本が選びづらかった。布の織り目をひとつひとつ確認するように活字を追い、最後にブワッと模様が見えて、それが想像を超えたもの……ボルヘスはそういう感じだったので、次は推理小説で ...
カテゴリ: book review
月~『創造者』J.L.ボルヘスからの抜粋
一切のことばのなかに ただ一つ
記憶して再現すべきものがある
わたしの意見では 慎ましく使うのが
秘訣で それは≪月≫ということばだ
虚しいイメージで その無垢な姿を
汚す気には到底なれない
謎を秘めた 夜毎 ...
沢木耕太郎『凍』、読了の朝
今朝、『凍』を読み終えた。
ネパールと中国国境沿いにあるギャチュンカン(標高7952メートル)。前人未到の北壁に挑んだ山野井夫妻の足跡を辿るノンフィクション。
降りしきる雪の中で、屹立する岩壁を登り、泰史は、妙子が7500メートル ...
旅の途中〜海辺のカフカ読中記〜
日曜日。
のんびりベッドの中で朝の読書を愉しむ。
カフカ少年は15歳で旅に出た。
父親のお金とナイフをザックに入れて。
南へ向かったのは、軽装でいられるから。
そしていま、彼は、森の中で暮らしている。深い森。都会の飼いならされた緑と異なり ...
夜の果てまで、読書
ぎゅんぎゅん、ぎゅんぎゅん読書する。
自分がちょっとでも納得できることがあるとしたら、とにかく読むことみたいです、今は。
なにしろ、「彼女」のミッションは、誰かの夜に滑り込むこと。
「はい、どうぞ、滑り込んでください」と私。
「frantzのいちごトリ ...